「ふう・・・」
とある死都において志貴は静かに息をついていた。
無論だが『裏七夜』の仕事で死都制圧についていた。
都市の規模はかなり大きく既に住民の大半が死者となっていた。
本来であればこれだけの死都の規模であるなら『七夫人』の誰かもしくは最近になって鍛錬名目で『裏七夜』の一員となった士郎とコンビを組みたい所であるがそれが出来ない事情が志貴にはあった。
先日志貴は偶然にも第五位ORTと遭遇なし崩しに遭遇戦に突入した。
結果は四聖のお陰で生還こそ出来たが無様な惨敗だった。
それ自体は『命あっての物種』と志貴は割り切り、特に気にはしていなかったが、気にするモノもまたいた。
志貴の内に蠢く退魔衝動だった。
ORTとの戦いでは表に出る事すらせず土竜の様に志貴の意識下に潜り込んでいたが、日が経つにつれてあの屈辱を思い出したらしい。
魔の殲滅を欲して志貴の内で暴れ始めた。
押さえ込む事も困難だと察した志貴は、新しく入った仕事を聞くやこれ幸いとばかりに『七夫人』達の反対を押し切り一人で乗り込んだ。
だが、その成果は芳しくない。
と言うのも・・・
「死者がいねえぞ・・・」
そう、死徒も死者も、その姿がまるで確認する事ができない。
最初の時に数十ほどの死者を惨殺してから一体たりとも見る事は出来ない。
「やばいな・・・」
無意識で志貴は胃の辺りを手でさする。
退魔衝動は既に欲求に形を変えて志貴の身体を蝕んでいる。
胃の辺りをギリギリと締め付けるような不快感が襲う。
それに表情を歪める辺り、多少参っている様だ。
「・・・最悪、皆をまとめて犯して、気を紛らわせるしかないかもな・・・」
訂正しよう・・・相当切羽詰っているのは間違いない。
いつもの志貴なら考えもつかない事を本気で検討している。
と言うよりも具体的にどう犯そうか方法論にその思考は移っていた。
今の志貴の思考には温厚なものは一つとて存在せず、どこかタガが外れている。
だが、もう別の欲求に形を変えてどうにか衝動を鎮めなければ、冗談ではない事態になりかねない程にまで志貴は追い詰められていた。
その時志貴を貫くように猛烈な殺気が当てられた。
「・・・」
一瞬で思考を『真なる死神』に切り替えた。
(場所は・・・)
殺気の方向から標的の居場所を正確に探り当てる。
その方向に振り向くとそこにはカソック服を身に纏った、髪で右目を隠したうら若き女性が立っていた。
無論志貴にとって良くも悪くも姉代わりであるエレイシアではない。
だが志貴にとってもそして相対する人物にとっても、浅からぬ因縁の持ち主だった。
彼女は埋葬機関長ナルバレック。
かつて志貴は少年の頃出会い、ある禁句を口にした。
その発言を本人の目の前で堂々と言った為、埋葬機関内でそれは生きた伝説扱いとなってる。
ちなみに志貴本人はそれ以降、その言葉を口にした事は一切無い。
(言った瞬間、最悪どの様な末路が発言者に待ち受けるか、それをある馬鹿の実例を見て思い知ったからだ)
「これはこれは、高名極まりない『真なる死神』がこの様なもう何も無いこの地に何用ですかな」
ひそやかな悪意の笑みを浮かべていたナルバレックは表面上礼儀正しく一礼する。
「何用も死都観光するような趣味も無いしな。死徒の殲滅に来たんだよ」
皮肉に皮肉で返す。
「ひとまず聞くがここを掃討したのはあんた達か?」
わかりきった質問をする。
その間にも辺りの気配を探る。
「無論」
それを極めて短い一言で応じる。
「それにしても・・・なんであんたがここにいるんだ?姉さんの話だと執務室に幽閉同然に閉じ込められていると聞いたが」
「ちっ、シエルの奴余計な事を話してくれる。私もたまには運動しなければならないと思っただけの事。丁度いい場所を見つけたから一人出来ただけだ」
「一人で?」
その言葉に嘘はない。
この死都には若干死者や死徒の気配を感じるが自分達二人しかいない。
「なるほどな・・・じゃあ・・・」
いない以上ここに長居する理由など無い。
溜息をつきながら踵を返そうとした時、
(二人しかいないのか・・・)
不意に志貴の思考に危険極まりない思考が明かりを灯した。
その思考はいつもの志貴ならば見向きもしないものだったに違いない。
だが、今の志貴は退魔衝動に心の内を圧迫され少なからず追い込まれていた。
あっと言う間にその思考に支配され実行を決意する。
「そうか・・・じゃあゆっくり楽しめそうだな」
笑みを浮かべて一歩近寄る。
目の前にいる実に美味そうな獲物に向かって。
「ああ貴様を半殺しにした後機関に連行してやろう。かつての発言の礼も存分にしなければならないからな」
志貴の言外の言葉を察しきれなかったのか構える。
「何だ・・・やっぱり気にしてたんだな・・・おばさん」
最後の言葉に踊りかかるナルバレック。
だが、志貴の方が遥かに早かった。
容易くかわすと後ろに回り込む。
「勘違いしてるな。誰が殺しあうと言った?」
「なっ!」
「あんたには俺の退魔衝動を少しでも鎮める手伝いをしてもらう」
反撃や防御の隙も与えなかった。
その言葉を最後にナルバレックの意識は一瞬で刈り取られた。
「んっ・・・」
ぼんやりとナルバレックは意識を取り戻し始める。
身じろぎしようとした彼女の耳を金属の音が入り込む。
「!!」
その音に一気に覚醒したと同時に周囲を確認する。
手首には腕輪が嵌められ、その腕輪は鎖によってつながれ鎖自体も壁に埋め込まれている。
有体に言えば繋がれていた。
場所は・・・おそらく死都の中にある建物だろう。
そういえばここには刑務所があったと聞く。
だがそれ以上に異常だったのは自分の姿だった。
カソックは無残にも切り裂かれ、下着は既に脱がされ意外にも豊満な胸も、くびれたウエストも・・・そして髪の色と同じ淡い茂みに覆われた秘部も晒されている・・・半ば全裸に近い。
「眼覚ましたか?」
そこにこの状態にした張本人がのんきにやって来た。
「どう言う事だ?これは?」
「これもくそもさっき言ったろ?俺の衝動を鎮める手伝いをしてもらうのさ」
「手伝いだと?ふん、早い話、私を犯すというのだろう?」
拘束され更に今の状況ではそれが一番考え付く。
しかし、それに志貴は首を横に振った。
「いいや、俺の妻だったらそれも良いと思うが、あんたにはしない。自分から俺をねだって貰う。まあ解決策には程遠いが少しでも紛らわせないとならないからな」
その言葉に鼻で笑うナルバレック。
「ふん、何を言っているのは知らんが、ならば貴様は永久に待たなければならないな。どうして私がその様な事を・・・っ!!」
言葉の途中で軽く震えた。
どう言う訳かは全くわからない。だが、急に身体が疼きだした。
それが急速に全身にそれが蔓延し身体が熱くなって仕方が無い。
「き、貴様・・・何かしたな・・・」
「ああ何かした」
既に息も絶え絶えのナルバレックの力のない詰問に志貴は素直に頷く。
「七夜に伝わる女性専用の特殊媚薬の様なものさ。粘液に塗りこむと徐々に身体に浸透し効果を表す。俺も初めて使ったが想像以上の効果だな」
既に濡れ始め、愛液が糸を引いて垂れ出したのを見て志貴は逆に感心したように呟く。
元々、世代交代が早く、短期間に子孫を残さなければならない七夜は、生殖活動を円滑に行う為に数多くの媚薬や精力薬を作り上げた。
初夜直前、真姫が『七夫人』に媚薬を飲ませたが、それとはまた別の代物である。
と言うより、この薬を夫婦の営みで使用する七夜の男は皆無と言って良いだろう。
何故なら、特殊媚薬の言葉が示すように志貴がナルバレックに使用したものは媚薬と言うよりも女性専用に使われる拷問薬の側面が強かった。
軟膏状になっているこれを、身体何処でも良い。
少し塗ってやると体内に浸透し性的欲求を強制的に引き上げる。
始末の悪い事に、決して絶頂に達する事はしない。
達するかどうかのギリギリのラインで何時間でも持続し焦らされる。
効果が切れるまでその快楽地獄が延々と続けられる。
しかもそれを膣内部に塗りこまれた時の効果は壮絶な物となる。
いくら交わっても満足できず、目の前にいる男を欲し恥じらいも無く身体を開き男を誘う。
記憶ではどんなに貞淑な姫でも、性欲を捨て出家した尼僧でも、これを使用された時には快楽に狂い男を何人でも欲し、密偵に来た女間者、それにその方面にも訓練を積んだ、くの一すらもこの薬の前では完全に壊されたと聞く。
その薬を仕事に出る七夜の男達は常時持っている。
志貴は気絶したナルバレックをここに運び込むと服を引き裂き、彼女の膣内にその薬を塗りこんだ。
それも手持ち全て。
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・」
身体の疼きは制御できないほどにまで高まり、愛液は床にたまりを作っている。
「欲しいか?欲しけりゃおねだりしてみろよ」
ニヤニヤ笑う志貴にナルバレックは顔を背ける。
「気丈な事だ。まあ良い。その気になったらいつでも言ってくれ。ちょっと俺は残党を始末してくる」
そう言って志貴はそこを後にした。
それから二時間後、志貴はかすかに残っていた死者や死徒の残党をゆっくりじわじわいたぶる様に時間を掛けて始末するとナルバレックを監禁している建物に戻った。
覗いて見るとそこからは愛液と汗の無い混ざった匂いが篭っていた。
「おうおう、これはまた・・・」
ぐったりした様子でへたり込んでいたナルバレックだったが志貴を視界に収めるや鋭い眼光を取り戻し、再び睨みつける。
「元気だな。まだ理性を保っていたのか・・・」
「ふ、ふんっ・・・あいにく・・・だったな・・・こんな・・・もの・・・我々には通用しない・・・」
本気で感心する志貴に途切れ途切れで悪態をつく。
「そうか、そいつは残念だったな」
そう言うと志貴はナルバレックの締まったウエスト部分に息を吹きかけた。
「!!ああああああ!!!」
その途端、あられもない嬌声を上げて背筋を仰け反らせ、潮を噴出す。
軽くイったみたいだ。
吹きかけたと言っても極めて弱く通常なら痛痒にも感じない程。
それにここまで反応を返すという事は、想像以上に媚薬の効果は聞いているという事だろう。
「な、なにを・・・する・・・こ、この変態・・・外道っ!」
「受け入れたくないが、受け入れるしかないよな。変態って言うのも」
頬をかいて苦笑交じりにその言葉を受け止める志貴。
だが、その手は軽く乳房に触れた。
「ひいいいいいいい!!」
それだけでも再び絶頂に達する。
「心配する道理は無いと思うが、いい加減我慢できなきゃそう言った方が良いぞ。このままだと本気で壊れるぞお前」
「う、うる・・さいっ・・・だ、誰が・・・その・・・ような・・・くつ・・・じょくを・・・っ!!う、うああああああ!!」
言葉の途中でまたイった。
身をよじらせた拍子に、志貴の腕が少し胸に接触したのが原因だった。
「あ、あああああ・・・」
「これだけでもイクのか・・・もう限界だろ」
「はあ・・・はあ・・・だ、黙れ・・・だ、誰が・・・貴様に・・・」
強固な拒絶に志貴も溜息をつく。
「こりゃ消耗戦だな・・・」
ナルバレックの屈服が先か、媚薬の効果が切れるのが先か、それとも彼女の心が壊れるのが先か・・・
長くなるか短くなるかは不明だが、待たなければならないだろう。
それからさらに一時間が経過した。
志貴はナルバレックに何をするでもなくただ静かに佇んでいた。
(ああ・・・あ、熱い・・・身体が焼けそうだ・・・も、もう誰でもいいから・・・誰か・・・助けて・・・)
一方、再び絶頂寸前の身体を持て余し、イきたくてもイけない生殺し状態にナルバレックの理性は既に限界を超えていた。
涼やかな目元は絶頂の余韻と決壊寸前にまで昂ぶっているのに、決して決壊しない快楽の無限地獄の影響を受けて蕩けたものに取って代わっていた。
先程三回連続で絶頂を味わった為、心は耐えようとしても、本能が・・・肉体の方がもうイキタクて仕方ない程昂ぶっていた。
「ぁぁぁ・・・」
霞が掛かった視線の先にいる志貴に・・・いや、正確には志貴の股間部分から一時すら目が離せない。
(入れて・・・欲しい・・・私に・・・イかせて・・・イきたい・・・)
もう思考が完全に屈服しても、最後に残された埋葬機関長としてのプライドがそれを阻んでいた。
(もう・・・いやぁ・・・助けて・・・犯して・・・)
「はあ・・・はあ・・・ぞ、存外に・・・しぶといな・・・私・・・は・・・屈しないぞ・・・諦めたら・・・どうだ・・・」
思考は志貴に犯されたくて仕方無いと言うのに、口を開けば出てくるのはいつもの強気な発言だった。
「いや、それは俺の台詞だし・・・」
志貴は志貴で呆れると同時に危機感も募っていた。
(もう限界だな・・・)
それはナルバレックの方だった。
志貴の方はまだ余裕はあるが向こうはいつ壊れても不思議ではない。
何しろどんなに訓練を積んだ間者をもってしても、わずか一塗りで一時間もたないとされる媚薬をありったけ膣内に塗られて三時間耐えている。
その強靭な精神力は敬意に値するが、これ以上焦らせば間違いなく壊れる。
相手が自分を執拗に付け狙う相手だとしてもこの様な結末では後味が悪過ぎる。
(仕方ない・・・使う気は無かったが強硬手段に出るとするか)
強硬手段といっても無論だが自分から襲い掛かるのではない。
(まさか、これが役に立つとは・・・)
溜息をつくとポケットから何かを取り出した。
それを見たナルバレックの身体がびくっと震える。
「・・・な、何だ・・・それは・・・」
「ん?テープレコーダーだけど」
志貴の言うとおりそれは何の変哲もないオーソドックスなテープレコーダーだった。
「ど、どうする気だ・・・」
「こうするだけ」
そう言って志貴はテープレコーダーの再生ボタンを押す。
『ああん!志貴すごいよ!!志貴のがね・・・志貴のおちんちん太い〜、いっぱい、いっぱいおまんこに入ってるのぉ〜・・・いいのぉ〜志貴のおちんちん気持ち良い〜もっと突いて!志貴のおちんちんでおまんこ突いてぇ〜』
その途端ナルバレックに耳に聞き覚えのある人物の声が再生される。
それも卑猥な単語を連発し、声だけでも快楽に酔っているのがいやでも判る。
「ア・・・アルクェイド・・・ブリュンスタッド・・・だと・・・」
「ああ・・・俺が仕事先で浮気しない様に自分達のエロイ声聞いて満足してくれって」
溜息混じりに説明する志貴。
発案者は琥珀か朱鷺恵辺りだろうと推測している。
とんでもない贈り物もあったものだと思っているのだろう。
と言うか、志貴が気付かぬ間にどうやって自分達の夜毎のセックスを録音しているのだろうか?
しかし、実際性欲が頭をもたげた時にはお世話になっているのだから『七夫人』の目論みはある意味当たっているのだろう。
だが、たまったものでないのはナルバレックの方だ。
ただでさえ限界を超えた快楽に耐えていると言うのに、そこに追い討ちを掛ける様にこの音声だ。
埋葬機関長としてのプライドにひびが入る。
更に
『志貴君〜志貴君の精液飲ませて・・・上と下両方のお口に飲ませて・・・あとね・・・妊娠もさせて・・・志貴君の子供産みたいの・・・ねっ良いでしょう〜この身体で不満だったらおっきくなるからぁ〜』
今度は死徒の姫君アルトルージュ・ブリュンスタッドが聞いた事がないほど弛みきった声ではしたないおねだりをしている。
ひびが大きくなる。
『あむ・・・志貴ちゃんのおちんちんおいしいね・・・翡翠ちゃん・・・』
『うん・・・ねえ・・・志貴ちゃん・・・私と姉さんどっちのおまんこに先に入れてくれるの?』
『私の方が締まるよ志貴ちゃん。だから・・・私のおまんこにいれて〜・・・』
『わ、私の方だって・・・私のおまんこだって良く締まるもん・・・だから・・・先にして・・・』
容易に光景が想像できる。
「あ、ぁぁっぁぁ・・・」
『志貴・・・だめです!その様な所を舐めては・・・っく!!そ、そこは汚いです・・・汗とか垢とかが・・・ひゃあああああ!!だ、だめぇーーーーーそこ舐めないで!吸うのもだめぇ!!』
アトラス院屈指の錬金術師と呼ばれたシオン・エルトナムがあんなにはしたない声をあられもなく上げて。
『兄さん・・・そこっ・・・良いんです・・・気持ち良いんです・・・ゆ、ゆるして・・・下さい。秋葉はどんどん淫乱に・・・ああ〜・・・兄さんのおちんちんで秋葉の淫乱なおまんこにお仕置きを・・・』
『志貴君〜キスしてよぉ・・・いっぱいおまんこに出し入れして志貴君のザーメン出してよぉ・・・ねえ良いでしょ?』
志貴の妻だと思われる女性の淫らな声とさまざまな音声に
「ぁぁぁ・・・ぃ・・・・・」
遂に
「入れて・・・」
プライドも
「おちんちん入れてぇ!!おまんこ滅茶苦茶に犯してぇ!!」
粉々に砕け散った。
普段の冷静沈着な装いも冷酷非情な殺人鬼としての仮面もかなぐり捨てて、一匹の雌に堕ちた。
腰をくねらせ、大声で卑猥なおねだりを始める。
その言葉を待っていた様に志貴は服を脱ぎ捨てる。
無駄な筋肉も脂肪も無く引き締まった肉体だったが股間からビクビク震えるペニスはナルバレックの想像を超える太さと大きさを兼ね備えていた。
「あああ・・・早くぅ、ねえ早くそれ入れてぇ」
眼を輝かせてしきりに志貴のペニスをねだり出す。
志貴は無言のままペニスの先端だけあてがう。
「早くぅ!!入れて入れて入れて入れてよぉ!!おちんちんズボズボ入れてぇ!!!」
もどかしく自分から腰をくねらせて志貴のペニスをくわえ込もうとする。
だがあまりにも激しく動く為か、志貴は動かないと言うのに上手く中に挿入できない。
「やだぁ!!入らない!!入らないのぉ!」
その様子に焦って更に激しく動くが、全て逆効果となって志貴のペニスは入る事無く入り口部分を擦るだけ。
「やああああああ!!イくぅ!イっちゃう!!」
その刺激で既にナルバレックは軽く五回は絶頂に達している。
絶頂の度に噴出す潮に志貴のペニスはびしょ濡れになっていた。
だが、ようやく志貴のペニスがナルバレックの膣内に挿入された、その瞬間。
「きゃあああああああああ!!だめぇ!!!」
一際大きな嬌声と共に、ナルバレックは先程より更に激しく絶頂に達した。
「くくくく・・・そんなに良いのか?」
志貴はその顔にサディスティックな笑みを浮かべて腰を動かす。
動かすといってもゆっくりとその膣内の感触を愉しむ様に、前後に左右に時には軽くグラインドしながら、次々と突いていく。
「ああっ!い、イクっ!良いのっ!気持ち良いの!!おちんちんがずんって来て気持ち良いのぉ!!だめっ!またイクぅ!!」
快楽に酔い、その顔を涙と涎だらけにして叫ぶ。
「ふふふ、これが埋葬機関の長とは思えないよな。無様に拘束されて、その拘束の相手の仕業でよがり狂うとは・・・お前本当はマゾじゃないのか?」
「ち、ちがうっわたしはっ!ひぎいいい!!だめぇ!イクっ!イクぅ!!」
少しだけ回復した理性が、その台詞を否定しようと言葉を紡ごうとしたが、快楽がそれを妨げた。
「違わないだろ?俺が軽く動かしただけでよがりやがって。お前マゾ認定」
そう言って痛々しいほどピンと立った乳首を乱暴につまむ。
「いいいいいいい!!痛くて気持ち良いのぉ!!」
身体を痙攣させてまた絶頂する。
「これでも違うのか?俺が引き千切ろうとしていたのに。それでイクなんてマゾ以外になんて言えば良いんだ?」
「あ、あひっひあああ・・・」
志貴の問いにもまともに答えない、いや答えられない。
「まあ、まともには答えられないよな」
そう言ってから言葉でいたぶるのを止めてピストン運動に移行する。
「良い!良いの!子宮まで当たって痺れちゃう!もっと突いてぇ!」
人など存在しない刑務所の一室から響く嬌声は街にまで響くと思われた。
既に志貴とナルバレックの結合部分は潮と愛液がかき回され所々泡立っていた。
だが、志貴は不意に挿入していたペニスを引き抜いた。
「やだぁ!もっと入れて、突っ込んで!!もっと犯して!」
絶頂に至る寸前で止められたこともあるのだろう、拘束されていることも忘れてじたばた暴れだす。
「そう喚くな。まだこれからだ。だけどその前に」
そう言うとまず腕の拘束を解き腰砕けになったナルバレックを支え、用意していた浣腸を立て続けに四つ菊座に注ぎ込む。
「ふぎやああああああ!!」
突然の刺激に意味不明の絶叫を上げて悶絶する。
無論だが、ただの浣腸の筈も無く、これも七夜で造られた拷問薬の一つで浣腸薬の中に例の拷問媚薬を混ぜたものだった。
「ひぐっ!」
直ぐに効果は現れたらしくその顔色を蒼ざめ、腹部に手を添える。
それを確認してから志貴はゆっくりと時間を掛けてこの牢獄から一番遠い場所に設置されている便座まで連れて行く。
この時には既に全身に脂汗をかき、息も先程とは違う意味で絶え絶えだった。
その様子を満足げに観察すると便座に座らせ、異音を鳴らせて排泄を求める腹部を掌で思いっきり押した。
「だめぇ!出る!出ちゃう!」
その言葉と同時に音を鳴らして排泄を始めた。
「やあああああ!!イく!!また駄目!イっちゃう!」
腹の中にある排泄物を全て吐き出すかのように長い排泄を終わるとナルバレックは荒い息のままぐったりとしたいたが視界に志貴のペニスを見るや圧倒的な性欲に支配された瞳を輝かせる。
「あはっおちんちん・・・んっ」
有無を言わせず咥え込む。
「こりゃ暫く戻ってこないな・・・まあ俺がした事だけどな」
何しろ膣内と更に腸内からも拷問媚薬が身体に浸透している。
おそらく性欲に完全に支配され、満足の得られない状態に理性が完全に押し潰されているのだろう。
志貴はとりあえずしゃぶらせるのを強引に止めると、浴場に連れて行き、汗や愛液でぐちょぐちょのナルバレックの身体を清める。
幸いな事に水道は生き残っていた。
そして、清め終えると、ナルバレックを四つん這いにして未だ射精せず猛り狂うペニスをアナルに添える。
「お尻にもしてくれるのぉ?してぇしてぇ。いっぱいしてぇ」
理性を一時的にも喪失し湧き上がる性欲に促されるまま、不浄の穴であるアナルでの性交をねだる。
無論抵抗など一切しない。
その言葉に促される様に志貴のペニスは引き裂くようにナルバレックのアナルを押し広げながら奥に突き込む。
ペニスは根元までくわえ込んだ。
「あああ・・・私・・・犯されてる・・・下賤なる悪魔にお尻まで犯されてるぅ・・・あひぃ、イくぅ〜」
自分の言葉に酔ったのか瞬く間に絶頂に達して膣から潮が噴出す。
志貴のピストン運動に連動して、
「あひっ、あっ、ふぐっ、ひぐっ」
ナルバレックも喘ぐ。
ここまで耐えてきた志貴だったが限界が来た。
「さて、俺も出すが・・・外が良いか?それとも中が良いか?」
耳元で囁かれた言葉に緩みきった何の躊躇いも無く強請り出す。
「両方〜両方してぇ〜」
「前と後ろどっちの穴に出してもらいたい?」
「それも両方〜おまんことぉお尻両方に出してぇ〜」
「全く・・・欲張りなマゾ雌シスターだ」
口調こそ呆れ気味だったが志貴は笑みを浮かべる。
「ならお望みどおり出してやる」
その宣言と同時に緩やかな動きを激しいものに切り替えた。
「ひっ!あぐっ!ぁぁぁぁぁぁ・・・」
その激しさに言葉も出てこない。
「たっぷり飲み込め!」
志貴の宣言と同時に志貴のペニスは大きく震え精液をナルバレックの腸内に注ぎ込む。
「ひいいいいいいいいいい!!」
悲鳴なのか歓喜なのか不明だが、一声絶叫を上げるとそのままへたり込んだ。
「・・・やりすぎだよな・・・まあお陰で衝動は沈静化したが・・・」
数時間後、夜も白みだした頃ようやく志貴の手によるナルバレック陵辱は終わった。
あの後志貴は、宣言とナルバレックのおねだりに応じる形でその全身を精液塗れにし、更には口内にまで飲ませた挙句、膣内に自身の精液を満たした。
志貴が言っていた様に、ナルバレックに対して行った心身ともに屈服させてからの陵辱は、自身の退魔衝動を少なからず慰め危険水域から脱する事は出来た。
しかし志貴の視線の先・・・ナルバレックはといえばすごい状態だった。
前後両方の穴に注がれた精液が止めどなくあふれ出しその全身も精液に塗れ、口からも精液は零れ、視線は虚ろだ。
ピクリとも動かず、かすかに呼吸するのみである。
それを受けての冒頭の台詞となる訳である。
「薬の方はもう効果は切れている筈だしな・・・うん」
半ば強引に自分を納得させると、まずは全身を手早く清めてから剥ぎ取った下着を履かせ、偶然見つけた替えのカソックを着込ませる。
それから、刑務所を後にすると、まず刑務所の点を突き、手っ取り早く証拠を隠滅する。
それから手短なベンチに座らせてから、頭部に包帯を巻く。
「あ〜まずは助かった。とりあえず今回の事は忘れてくれ。まあ強引にでも忘れてもらうけど」
そう言ってから懐から取り出した錠剤を数粒含ませてから水を流し込み飲ませる。
一種の記憶喪失の起こさせる薬だった。
もっとも、完全に記憶を消去するのではなく、ここ数時間の記憶を混濁させ曖昧にする効果であるが。
早い話、志貴は今まであった事を闇に葬るつもりであった。
もしもこれが『七夫人』に知れれば浮気として半殺しにあうのは想像するに難しくない。
だが、それ以上に志貴が憂慮しているのはこれがきっかけとなって自分の中の『死神』の件が白日に晒される事がより重要だった。
「よし処置完了。効くかどうかはわからないが、現実に起こったのかそれとも夢だったのか本人も判断がつかないだろう。後は俺が口裏を合わせる・・・」
「志貴君!」
その志貴の背後から聞きなれた声がした。
振り向くと案の定と言うか、エレイシアが駆け付けていた。
「姉さん丁度良い。この人の引き取りお願いします」
そう言ってエレイシアにナルバレックを引き渡す。
「やっぱりここにいたんですか・・・でも志貴君どうしたんですか?」
「いや、ここで偶然遭遇したら襲い掛かられて・・・応戦したんですがその時に頭を思いっきりぶん殴っちゃったんですよ。それも当たり所が悪かったのかそのまま意識を失っちゃって・・・このまま放置するにも後味が悪すぎたんで、手当てして容態が安定するまでここにいたんです」
「全く・・・志貴君人良すぎますよ。こんな陰険女放置して仮に死んだとしても誰も文句は言いません。むしろ絶賛しますよ、『良くあいつを葬ってくれた』と」
志貴の言葉をエレイシアは疑う素振りすら見せない。
元々ナルバレックは志貴を眼の敵にしていたのは事実であるし、志貴のお人よしは充分に知り尽くしていた。
志貴ならば例え自分を付け狙う相手でも、手当てするだろうと確信していた。
それに二人が戦闘に入ったのも事実であるし、気絶したナルバレックを志貴が介抱したのも事実である。
まさか、先程まで志貴がナルバレックに対して陵辱の限りを尽くしていたなど、信じる信じない以前にその様な可能性すら頭から出てこないだろう。
「ははは、さすがに経験者の言葉は重みがありますね」
「全くです。あそこに行く度に私の寿命は縮まるんですから・・・出来ればこのまま放置したいんですが・・・見つけてしまった以上仕方ありませんね。連れて帰るとします」
そう言ってから志貴の手からナルバレックを引き取る。
「じゃあ姉さん、俺もこれで失礼します」
「ええ志貴君も災難でしたね」
その後、『埋葬機関』からあの夜の事が出てくる事は一切なく、志貴は内心安堵していた。
だが、ささやかな変化は確かにあった。
「おや?ナルバレックどうしたんだい」
「メレムか、どうもしない。身体を動かそうとしているだけだ」
「それはわかるけど、ここの所しょっちゅうじゃない?何かあったのかい?」
「別に・・・ただの気まぐれだ」
そう言って、死都にその身を躍らせる埋葬機関長の姿が度々目撃される事になった事だった。